メールマガジン

2005-02-01 : 第40回 メコンプロジェクトの紹介 3 現地レポート2

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||ヽヽ     ビーマップ メールマガジン 発行日:2005/02/01
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┃ 第40回 メコンプロジェクトの紹介(3) 現地レポート2 
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 今回は、現在取り組んでいる日本貿易振興機構(JETRO)の「先導的貿易投資
環境整備実証実験(J-FRONT)」において受託した「日・タイ連携によるメコン
流域における情報通信ネットワーク(携帯無線IP電話)の規格整備ならびに構
築実証事業」、通称メコンプロジェクトについて、1月17日から22日まで、社長
の杉野と担当者のわたくし大谷が現地のメイファルアン大学を訪問し、
現状調査とプレゼンテーションを行なってきましたので、その内容をご報告し
ます。
 すでに掲載した、メルマガ第35回、第38回も参照しながらお読みください。

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●メコンプロジェクトの概要と進捗状況
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 まず、メコンプロジェクトの再確認です。主な取組みは、
(1)タイ北部チェンライ市にあるメイファルアン大学構内に、無線LANアクセ
   ポイント・SIPサーバー等を設置し構内を無線LAN化し、ノートPCをはじ
   めとする携帯端末でのネットアクセスを可能にすると共に、IP携帯電話
   を持ち込み、構内の無線内線電話として教職員スタッフ55名と学生20名
   に無料で使用してもらう
(2)メイファルアン大学と、そこから約2キロ離れたホアイプル小学校をWIPAS
  (26GHz帯の高帯域を使用し、80Mbps級の高速アクセスを可能にする、最先
   端の長距離無線通信技術)でつなぎ、小学校内をブロードバンド化すると
   ともに、小学校からメイファルアン大学の図書館システムなどのLANアク
   セスを可能にする
の2つです。実証実験の期間は、2004年9月から2005年2月までで、フェーズ1:
実験計画段階、フェーズ2:機器設置・使用段階、フェーズ3:使用状況リサ
ーチ、フェーズ4:最終報告と進みます。今回の訪問は、フェーズ3の使用状
況リサーチと、その内容を大学側にフィードバックするラップアップ(まとめ)
プレゼンテーションが目的でした。これに基づき、今後スポンサーであるJETRO
と経済産業省に最終報告書を提出し、今後のアクションを諮ることになります。
 なお、今回の訪タイでバンコクの首相府、NECTEC、ソフトウェアパークセン
ター等を訪問し今後の展開等について幅広い意見交換をして参りましたが、こ
の内容は別の機会に譲ります。

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●タイ現地では、私たちの予想を上回る大きな反応
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 現地に機器を導入し、約3ヶ月半が経過しましたが、このプロジェクトに対する
パイロットユーザーからは、当初の予想を上回る大きな反応があり、さらなる期
待をよせられています。まず(1)のメイファルアン大学の無線LANとIP携帯電話
についてですが、プロジェクト開始当初は、ユーザーの利用状況がいまひとつで
した。彼らはすでに自分の携帯を持っているので、構内電話だけのためにIP電話
も持ち歩くのが面倒だったためです。とはいえ、トンチャイIT学部長、ネットワ
ーク担当のアカニットさん、学務担当のノックさん、ミントさんなど大学側協力
スタッフの情宣活動もあり、一度使ってみるとその簡便性と無料のメリットを実
感し、使用頻度が上昇するという好循環が生まれ、コンスタントに使ってもらえ
るようになりました。ユーザーの反応は、総じて好評です。
 ちなみに、この通常の携帯とIP携帯の2台になるという難点も、1台で両方の機
能を備えたデュアル端末になれば問題は解決します。このデュアル端末はまだ日
本でもNTTドコモとNECから公表されたばかりの最先端技術で、今回のプレゼンに
おけるデモがようやく間に合った段階ですが、将来的には無線LAN普及時のスタン
ダードになる可能性を秘めています。そういった面でも、今回のプロジェクトは、
電話の未来形を展望する上で非常に示唆に富んだものといえます。
 (2)のホアイプル小学校のブロードバンド化については、更に大きな反響が
ありました。以前にもお話しましたが、この小学校はこれまで、電話回線を使用
したダイアルアップを10台以上のパソコンで共有していたので、メールの送受信
だけでも大変で、インターネットホームページはダウンロードに時間がかかるの
はもちろんのこと、表示できないことも頻繁にありました。そこに80Mbps級の高
速回線がやってきたため、様々な情報にスピーディーにアクセスできるようにな
り、小学生たちはパソコンに夢中になっています。ちょっと知ると好奇心が沸い
てもっともっと知りたくなるという純粋な欲求に応えてあげる、そのためのイン
フラを提供する、というこのプロジェクトの基盤にある思いが現実のものとなり、
私たちスタッフも非常に嬉しく思っています。
 一方で小学校の先生方からは、「このプロジェクトの終了後はどうなるのか?
それ以降もこの機器を是非使わせてほしい。日本に持って帰らないで欲しい。」
という切実な要望を受けました。この期待に応えるためにも、プロジェクトが継
続できるように働きかけていきます。

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●「タイの大学生に向けて熱気あるプレゼンテーション」
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 ここでご注目いただきたいのは、このプロジェクトチームが提供している技術
の先進性です。NTTドコモ、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)、長野
日本無線、早稲田大学国際情報通信研究センター(松本充司教授)、そしてビー
マップ、これら全ての融合が、将来的に大きな可能性を秘めた当プロジェクトの
原動力になっています。そしてこのチームは、今回の訪問でメイファルアン大学
の大学スタッフおよび学生に対しラップアッププレゼンテーションを行うととも
に、前出のホアイプル小学校と日本の早稲田大学本庄キャンパスに近い神泉(か
みいずみ)小学校をブロードバンドテレビ会議システムで接続し、交流を図ると
いうイベントを行いました。
 まずプレゼンテーションは、メイファルアン大学がITとベンチャービジネスの
教科に力を入れていることもあり、多くの学生が参加してくれました。そして各
社が、今回のプロジェクトにおける役割とその基盤にあるテクノロジー、そして
その将来性について、おのおの独自性のあるプレゼンテーションを行いました。
我がビーマップは、社長の杉野が「ネットビジネスの立ち上げと、そのメコン地
域における将来的な可能性」について説明し、学生からの質問が飛び交うなど熱
気に溢れたものになりました。ちなみに当社には、既にフィリピン、韓国、中国
といった海外からの人材が参加し、力を発揮しています。数年先には、メイファ
ルアン大学の卒業生が当社のスタッフになり、私と一緒に仕事をすることになる
かもしれません。
 また、ホアイプル小学校と神泉小学校とのテレビ会議システムを用いた交流会
では、双方13名ずつの小学生が出席し、スクリーンを通してお互いの生活ぶりな
どについて語り合い、交互に校歌を歌いました。この模様は、タイの地元メディ
アが取材に訪れ、また埼玉の地方紙にも取り上げられるなど、各所から注目を集
めました。

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●プロジェクトの今後の展開と、担当者としての思い
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 現在はフェーズ4の最終報告書を制作中で、それをJETROと経済産業省が審査し、
今後のプロジェクトの方向性を決めることになります。私としては、ここまで作
りこんだこのプロジェクトを次のビジネスチャンスにつなげ、横展開したいと考
えています。このメコン川流域のタイ北部+CLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミ
ャンマー、ベトナム)の人口は合計で約3億人弱と、中国沿岸部に匹敵します。
これだけの潜在力がある市場にも関わらず、世界的な関心度はまだ高くありませ
ん。そのうえ、非常に親日的ですので我々が活動しやすい雰囲気があります。こ
こに着目し、タイ北部・東北部を出発点に速くて安い情報インフラを提供するこ
とで、地域ビジネスの活性化を促進すると共に、当社のビジネスにつなげて行き
たいものです。
 また、今回協力していただいた、メイファルアン大学側のスタッフとも友好的
な関係を築くことができました。彼ら、彼女たちは、個人的な見返りがなくとも、
非常にプロジェクトに協力的で、私たちを強くサポートしてくれました。プロジ
ェクト開始時こそ、お互い初対面ということもあり、お客さん的なよそよそしさ
が垣間見える対応でしたが、何度も一緒に作業をするうちに、頼れるチームメー
トとして積極的に意見を出してくれ、またタイムリーに現地の情報を連絡してく
れるようになりました。せっかく築いたこの人間関係を継続していくためにも、
プロジェクト自体を発展させたいものです。
 そしてもうひとつ感じること、それは国際貢献の意義です。ホアイプル小学校
の生徒たちがインターネットに熱中する姿を通して、こうしたプロジェクトが果
たしている地域活性化や文化の醸成という大きな役割の重要性を実感します。実
は、今回このプロジェクトを率いているPCIは、十数年前にモルディブの護岸ブ
ロック設計に関わっており、その護岸ブロックが先日のスマトラ沖地震・津波に
おいて多くの人命を救うこととなりました。モルディブは国土の全てが海抜1メ
ートル以下にもかかわらず、津波による死者は約80名と、他の被害国に比べ格段
に少なかったのです。こうした事例からも、日本企業が海外に対してできる貢献
の大きさが感じられます。そしてビーマップも同様に、人に役立つと共に自らも
収益の上がる、共存共栄のビジネスを目指していきたいと、改めて感じています。


(株)ビーマップ
新規事業開発室
大谷 英也


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